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(2)事後措置(面接指導を除く)

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年2回実施している電離放射線従事者健診について、報告書の線量区分はどのように報告したらよいのでしょうか?
1年、それとも半年分の線量区分を記載すればよいのでしょうか?
線量区分につきましては、「今回の健康診断を行った日の属する年の前年1年間に受けた線量によって行うこと」とされております。
そのため、線量は1年間の累積値により区分することとなります。
ただし、「前年1年間」の線量で区分することにご注意ください。
 《 例 》 毎年4月1日、10月1日に健診を行っている場合、今年(平成24年度)の報告においては、
  1.平成23年4月1日時点での被ばく線量(H22.10.1~H23.3.31)
  2.平成23年10月1日時点での被ばく線量(H23.4.1~H23.9.30)
の2つを合計した線量で区分することとなります。
なお、ここでいう 「1年間」 については、事業場ごとに決めることになります。(例えば1月~12月、4月~3月など)
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定期健康診断を行った後に再検査判定がなされた者に対する再検査実施後における事後措置について教えてください。

健康診断後の再検査については、労働者の受診義務は定めておりませんが、「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」において、「再検査又は精密検査を行う必要のある労働者に対して、当該再検査又は精密検査受診を勧奨するとともに、意見を聴く医師等に当該検査の結果を提出するよう働きかけることが適当である」とあります。

再検査や精密検査は、診断の確定や症状の程度を明らかにするものであり、また使用者には、労働者に心身の健康を管理し、配慮しなければならない安全配慮義務があります。そのような観点からも再検査又は精密検査を行う必要のある労働者に対して検査を勧奨など働きかけることが望ましいと思われます。

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産業医として担当している事業場で鉛業務(鉛ライニング)を行っており、健診結果に基づいて指導する際の留意点を教えてください。

1.鉛業務の適用される法令について
鉛中毒予防規則(「鉛則」と呼びます)

2.鉛中毒予防上、注意すべき点について
鉛ライニング作業が特に管理が必要です。
鉛則第1条で鉛ライニング作業を定義しており、この作業があるために「鉛作業主任者の選任」「鉛ライニング作業に対する設備」「作業環境測定」「健康診断(鉛作業にかかる特殊健康診断)」が必要です。

3.鉛作業主任者
鉛則第33条で鉛作業主任者の選任を義務付けております。これは、鉛作業主任者技能講習を修了した者の中から選任する必要があり、鉛作業における汚染の防止、設備の点検、労働衛生保護具の使用状況の監視などの職務が課せられています。

4.鉛ライニングに係る設備
鉛則第11条において、鉛ライニング作業場所に局所排気装置を設けるよう義務付けられています。
鉛の蒸気(ヒューム)を作業場内に発散させないための設備で、これらを吸引して屋外に排出する設備です。

5.作業環境測定
鉛則第52条で鉛ライニング作業場について、1年以内ごとに1回、空気中の鉛の濃度を測定することが義務付けられています。
この測定は、作業環境測定機関に依頼して実施するもので、濃度によって管理区分が決定され、
管理1:問題なし、
管理2:改善に努力する、
管理3:直ちに設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、これらの改善の措置を行わなければならない
となっております(「鉛則第52条の3」)。

6.健康診断
鉛則第53条で鉛ライニング作業に従事する労働者及び作業場所の清掃の業務を行う労働者については、6月以内ごとに1回健康診断を行うこととなっています。

7.診断
鉛則第56条において、「腹部の疝(せん)痛、四肢の伸筋麻痺若しくは知覚異常、蒼白、関節痛若しくは筋肉痛が認められ、又はこれらの病状を訴える労働者に、
すみやかに、医師による診断を受けさせなければならない」となっています。

8.鉛中毒にかかっいる者等の就業禁止
鉛則第57条により、「鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた労働者を、医師が必要と認める期間、鉛業務に従事させてはならない」となっており、就業禁止措置ができることとなっています。

1-(2)-9
産業医として担当している事業場において、異常行動により業務に支障が出ている労働者について、専門医の治療等を受けさせるのが適当と判断するが、本人が拒否するため対応に苦慮しています。何か良い方法はないでしょうか?

メンタルヘルス不調者への受診指導に関して、法令に基づく受診勧奨方法とその後想定される対応方法について以下のとおり参考にすることができます。
1 受診勧奨の手段
(1)事業者に対する勧告
労働安全衛生法第13条第3項で、「産業医は労働者の健康を確保するため必要があると認めたときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。」と定められています。
今回のケースでは、産業医から事業主(事業者)に対して、メンタルヘルス不調者の健康管理等について専門の医師からの診察などの受診が必要との勧告を行うことができることになります。

(2)総括安全衛生管理者に対する勧告
労働安全衛生規則第14条第3項で、「総括安全衛生管理者に対して勧告又は衛生管理者に対して指導できる。」と定められています。
総括安全衛生管理者を選任するのは、製造業で300人以上の労働者を使用する事業場ですので、該当しない場合があります。

2 その後の対応
(1)受診にかかる業務命令
業務として労働者に受診を命令することになれば、労働者は従う義務が発生します(なお、業務命令であれば、賃金を支払う必要があります)。
そのため、確実に行わせるためには業務命令とするのが望ましいと考えられます。

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メタボリック該当の従業員に対し保健指導を行っても、本人が全く言うことを聞いてくれない。よい説得方法はありませんか?
単に太っている、脂肪が多いというだけでなく、脳血管疾患等の万病の元になる恐ろしいものであることを粘り強く説明してください。
労働者にも健康に関して注意する義務(自己保健義務)があり、説明することも考えられます。
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職場の雇入時健康診断で、下請業者に特殊健康診断結果の一覧表を提出して頂くよう依頼しましたが、個人情報の関係上提出できないとの事で拒否されてしまいました。従業員や下請・派遣の方々を含めて全体を把握したいのですが、良い方法はありませんか?一般健康診断結果についても教えてください。
【1】 請負事業場の労働者、派遣労働者に対する健康診断の履行義務を負うのは誰になるのか
【2】 請負事業場の労働者及び派遣労働者の健康診断結果のデータを元方事業者が把握する場合の注意する点
この2点について回答いたします。

【1】 について
労働安全衛生法では、労働者に対する健康診断の履行義務を事業者に課しています。しかし、有機溶剤業務など一定の有害な業務に常時従事する労働者に対して行う特別な項目についての健康診断(特殊健康診断)は、派遣労働者の場合についてのみ派遣元事業者ではなく、派遣先事業者が履行義務を負うこととなっています。
なお、一般健康診断の実施は派遣元の事業者に履行義務があります。
以上のことから、派遣労働者への特殊健康診断の実施についてのみ、労働者を使用する事業者ではなく、派遣先の事業者が履行義務を負い、それ以外は労働者を使用する事業者が履行義務を負うこととなります。

【2】 について
健康診断項目にかかる情報を事業者が取得する場合、法定の健康診断項目については労働者から同意をとる必要はありません。法定外項目については労働者から同意を得て取得する必要があります。
事業者が取得した健康情報を第三者に提供する場合、労働者本人から第三者への情報提供に関して同意を得る必要があります。
このため、請負事業場、派遣事業場で取得している労働者の健康情報を元方が得るためには、請負事業場、派遣事業場が労働者の同意を得たものをそれぞれの事業場から提供を受ける必要があります。


健康情報は労働者の健康の確保を図るために活用されるものであること、あるいは有害業務を行っている労働者であれば労働者の健康状態をチェックするとともに作業場の衛生管理にも役立てることができるものであることを理解いただくことで、健康情報の提供にかかる同意を得ることができる場合があります。

なお、これらの根拠となるものは、「個人情報の保護に関する法律」、「厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」などがあります。

1-(2)-6

職場の雇入時健康診断で、全員にHBV(B型肝炎)、HCV(C型肝炎)、STS(梅毒)、HIV(エイズ)検査を義務として課し、事業主に結果データを提出していますが、問題ありませんか?

1 雇入時健康診断について

雇入時健康診断につきましては、労働安全衛生規則第43条において、11項目の検査を義務づけており、省略できる項目及び検査の追加項目は定められておりませんので、これら11項目のみが雇入時の健康診断項目となります。

なお、雇入時の健康診断については法定の健康診断ですので、労働者に対する利用目的の説明や医療機関から事業者への健康診断の結果を報告することについて、本人から同意をとる必要はありません。

2 HBV、HCV、STS、HIV検査(以下、法定外健診といいます)について

(1)法定外健診は雇入時の健康診断項目には該当しません。

そのため、これらの検査は法令に基づく健康診断項目以外の法定外健康情報検査項目になります。

(2)法定外の健康情報の取扱いについて

法定外の健康情報については、「雇用管理に関する個人情報のうち健康上を取り扱うに当たっての留意事項」などの、健康情報の取扱い方法を定めている指針等に留意する必要があります。具体的には、

ア 遺伝情報や感染に関する検査の結果は、職場で特に必要がない限り取得しない。

イ 法定の健康診断項目以外の情報は、同意を得て取得し、適切に活用する。

ウ 健康情報管理について、次の項目に留意して事業場内のルールを定める。

なお、この場合、衛生委員会で審議し、文書化しておく必要があります。

(ア)健康情報を取り扱う者ごとに権限と取り扱う範囲を決める。

(イ)衛生管理者、衛生推進者、及び人事権を行使する者の守秘義務を定める。

(ウ)健康情報の開示、訂正、追加、削除、廃棄、及び苦情を受け付ける方法についてルールを定める。

(エ)労働者や管理監督者を対象とした健康情報の取扱い方に関する教育の実施についてルールを定める。

(オ)構内下請け、派遣、請負などの非正規型労働者の健康情報の取扱い方法についてルールを定める。

エ 法定外項目の結果を事業主に提出することについては、労働者の任意とし、提出しない労働者を不当に差別しない。

オ 生データの取扱い

(ア)職場に伝える情報は、医療職が病名や検査結果等の生データを含まないものに加工し、診断名や検査値を記載しなくてもよい書式を使用する。

(イ)生データや診断書は、職場に提出させたり保管したりせず、できるだけ医療職が一元的に取り扱う。

(ウ)医療職による生データの取扱いが難しい事業場では、個人情報管理や健康についての知識を有する衛生管理者などの常勤職が担当し、その者に守秘義務を課す。

  などがあります。

3 以上のことから、法定外検査については、労働者の同意、情報の取扱い方法などに留意する必要があります。

1-(2)-5

一般健康診断で有所見のあった従業員に対して、医師の意見を受けて精密検査の実施を指導してもなかなか受診しない場合、どのような対処をしたら良いでしょうか?

「精密検査、再検査結果は疾病の早期発見、その後の健康管理等に資することから、精密検査、再検査の結果に基づく医師等の意見の聴取を含め、労使が協議して定めることが望ましい」(H8.9.13基発566号通達)とされています。


そのため、一般健康診断結果に基づく医師の意見聴取を受けて精密検査、再検査を勧奨することが、疾病の早期発見、その後の健康管理に有効ですので、本人に対して、「労働者には自主的な健康管理の努力が求められており、健康体で働くのが労働者の義務である」と自覚するよう説得を続けて、精密検査、再検査の受診を勧奨することが考えられます。

1-(2)-4

従業員の過重労働による健康障害防止のため、産業医から面接指導を実施してもらっていますが、その受けた内容は文書として残しておく必要はありますか?

いつ、誰から、何を指導受けたかを記録しておく必要がありますので、文書で残し (労働安全衛生法第66条の3第3項)、5年間保存(労働安全衛生規則第52条の6第1項)してください。

1-(2)-3

一般定期健康診断で、毎回、血清アミラーゼ値がやや低く、要精査となってきたのですが、どうしたらよいでしょうか?

要精査の受診を勧奨することが考えられます。

1-(2)-2

有機溶剤等健康診断個人票の結果を記載する際、作業環境測定結果の管理区分を記載した方が良いの?異常なしと記載した方がよいの?

有機溶剤中毒予防規則では、健康診断個人票記載欄には作業環境測定結果の管理区分を記載することにはなっていません。

1-(2)-1

定期健康診断結果による個人のデータを事業場が把握するにあたり、注意する点はありますか?

医療機関が事業者に健康診断の結果を報告する際に、法定決定項目の結果を報告することは、本人の同意があると考えてよいとされていますので、改めて同意を取る必要はありません。
なお、法定外項目や面談などの健康情報は、本人からの同意を得て取得する必要があります。

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