バブル崩壊以来、我が国では自殺者が急増し、現在年間約3万人が自ら命を絶っています。青森県においてもこの問題は深刻です。人口10万人当たりの自殺者数は、平成14年ついに秋田県に次いで二番目となりました。青森県が日本一の短命県と言われて久しくなりますが、その理由の一つにこの自殺率の高さが挙げられます。
自殺問題は産業保健の分野においても緊急の課題として認識されています。産業構造の変化は、人々の働き方の変化とともに職業生活における健康問題にも大きな変化をもたらしました。さらに産業の発展をはじめとする技術革新は、職場の作業形態や内容にも大きな変化をもたらしています。このような状況において、人々の職業生活におけるストレスが職業性ストレスとして注目を浴び、これが自殺問題の一つの要因としてとらえられています。さらに、勤労者の生活の場には職場のみならず家庭があり、居住している地域社会の影響も大きいと考えられています。
青森県では、平成13 年1月に「健康あおもり21」を作成し、自殺予防を県民のこころの健康づくりの重要課題としてとりあげ、自殺者の減少を目標に取組みを進めています。今回、青森県と青森産業保健推進センターは、青森労働局の協力を得て、「青森県職域メンタルヘルス実態調査」を実施いたしました。いまだ十分に把握されていない県下の事業所におけるメンタルヘルスの実態を調査して、今後のメンタルヘルス対策、 自殺予防対策に資することを目的にしています。今回の調査では、中高年の人たちのメンタルヘルスをまず明らかにすることが、その対策をたてる上で大変重要であると考え、40-60歳の方を対象に実施しました。御多忙にもかかわらず50%を超える事業所、労働者の皆さんから御回答をいただきました。ここに厚く御礼申し上げます。
このように大規模なメンタルヘルス実態調査を青森県と青森産業保健推進センターが共同して行えたことは、今後の全県的な自殺予防対策への取組みに弾みをつけるものと信じます。本調査の結果を、事業主の方に御理解いただき、その解決に向けた一歩を踏み出していただくとともに、本報告書が今後のメンタルヘルス対策の向上、ひいては自殺率の低下につながることを切望してやみません。
最後に、このように膨大な調査の集計及び報告書の作成に御協力いただいた弘前大学医学部衛生学講座の皆様に心から感謝いたします。
平成17年3月
青森県健康福祉部長 北窓 隆子
青森産業保健推進センター所長 佐々木義樓
は じ め に