平成14年に開所しました青森産業保健推進センターの二年目の調査研究事業として青森県下事業場における喫煙対策の実態調査を行いました。その背景には、喫煙・禁煙が現代医学の最大課題のひとつであり産業保健の分野においても例外ではないという現状があります。本調査には50%をはるかに超えるご回答をいただきました。各事業場の担当者の皆さんの多大なるご協力に厚く御礼申し上げます。
調査結果の概要をこちらにて述べさせていただきます。今後の各事業場での喫煙対策にご活用いただければ幸いです。
■はじめに
各事業場で進められている喫煙対策の実態を把握し、今後の喫煙対策の推進に資する。
■対象と方法
平成15年11〜12月に青森県内の1,163事業場に、喫煙対策の状況とそれに関する意識調査の
調査用紙を郵送した。
■結果
1.回答率:有効回答数(有効回答率)は647(55.6%)であった。
2.喫煙対策実施の有無:約75%の事業場で何らかの喫煙対策を実施していた(図1)。
3.喫煙対策の方法:「喫煙場所を別に設ける」が約90%と最も多く、「完全禁煙」は10%
以下であった(図2)。
4.喫煙対策を始めてからの期間:「3-5年」が最も多く、「10年以上前」は12%であった
(図3)。
5.喫煙対策の動機:「事業者からの指示」が最も多く(45%)、「時代の流れ」(41%)、
「職員からの要望」(38%)が次いだ(図4)。
6.喫煙対策実施範囲:「事業場全部」(76%)が多く、「各所属個別」は約20%であった
(図5)。
7.喫煙対策実施後の変化:喫煙に対する「意識が高まった」(63%)が最も多く、「職員間
では好評」(38%)が次いだ。また、「喫煙者が減った」が18%あった(図6)。
8.喫煙対策を実施しない理由:「苦情がない」(41%)が最も多く、「個人の自由」(29%)
が次いだ。
9.喫煙対策非実施群の今後の喫煙対策:「実施予定がない」(56%)が多く、「喫煙場所を
設ける」(28%)が次いだ。
10.定期健康診断の喫煙項目の有無:「ある」と回答した事業場が71%であった。
11.喫煙に関するアンケート実施の有無:全体のわずか12%しか実施されていなかった。
12.社内紙等での禁煙、分煙教育の掲載状況:「掲載したことがない」が73%であった。
13.喫煙に関する健康教育実施の有無:「ない」が84%と多く、「ある」はわずか14%であ
った(図7)。
14.会議での灰皿の設置状況:「灰皿を置かない」が55%と最も多く、「場合による」が
26%であった。
■まとめ
以上を総括すると、青森県下の事業場における喫煙対策実施率は35%(平成6年青森県調査)から75%(今回)と倍以上の増加をみた。しかし、この数値は他府県より低い実施率であった。本県の喫煙率の高さを考慮しても、職場におけるよりいっそうの喫煙対策の強化が必要と考えられた。
また。喫煙対策の内容をみると、喫煙場所を別に設ける事業場が約90%と最も多く、完全禁煙にしている事業場は10%以下にとどまった。
職種別にみると、製造業が喫煙対策に最も積極的に取り組んでおり、建設業・運輸業で遅れている傾向にあった。従業員規模でみると小規模事業場で喫煙対策が立ち遅れていた。
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